2008年11月19日

書評「征途」佐藤大輔

4198919380征途〈上〉衰亡の国 (徳間文庫)
征途〈中〉アイアン・フィスト作戦 (徳間文庫)
征途〈下〉ヴィクトリー・ロード (徳間文庫)
佐藤 大輔
徳間書店 2003-09

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拙blogには軍ヲタの方も少なくないので(いつも、お世話になってまーす)、どうして今更これを、と思う人も居るだろう。判ってるのだ、初版は1993年だし。だが、ちょと語らせろ。この小説で人生誤ったヤツ、ぜってぇ居るし、それに万倍する人数を、けして出ない佐藤大輔の続刊を待ち続ける甘やかな地獄−ネットでは「煉獄」と呼ばれる−に堕とした、日本仮想戦記史上(うわー、恥かしー)のエポック・メーキング的作品なのだから。

舞台は1995年の沖縄県・嘉手納“宇宙港”の宇宙往還機の打ち上げから始まる。その宇宙港の沖合いには一隻の「戦艦」が浮かんでいる。日本の馬鹿マスコミが、軍艦なら何でもかんでも「戦艦」と呼ぶのとは訳が違う。正真正銘、掛け値なしの「戦艦」だ。そして、その「ふね」の名は。

ネタバラだが、一つだけは言っておこう。戦艦「武蔵」はシブヤン海では沈まない。そして、それを現出させた状況は「太平洋戦争」の終り方とその後の日本を大きく変えていく。二隻の戦艦と二人の兄弟、そして二つの。2というキーワードを軸に物語は拡大していく。

欠点は幾らでもあげつらう事は出来る。
曰く文章が稚拙
曰く挿入される報告書形式の部分が時に専門的過ぎて読み辛いこと甚だしい
曰く映画的カットバックがくど過ぎてストーリーを追うのが難しい部分が少なくない
曰く北海道、ベトナム等のサブストーリー部分が長すぎる

だが、それでもこの「もう一つの日本史」は魅力的だ。特に「戦艦」や「宇宙開発」に思い入れを持つ者にとっては堪らない筈だ。同時に逆説的ながら「憲法九条」が成立した状況と九条を盾に国防と「西側での責任」を、ほとんどサボり続けられた我々の歴史が本当に幸運であった事も判るだろう。

「仮想戦記」という、これ以上無いほど恥知らずなジャンルに抵抗を感じないならば一読の価値はある。そして、これ読んでいく中で何度か、いや、もし一度でも泣いたならば。

┏┫ ̄皿 ̄┣┓<まずお友達から始めさせてください♪

PS.
既読の方、コメント欄でのネタバラは止めたげてね(笑)
posted by ナナシ=ロボ at 00:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 浅学非才でございますが | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
難しい事は無しにして、面白けりゃいじゃん的に読むのもアレかしら?
Posted by 猿人 at 2008年11月19日 00:25
18inch!!

ってか、ヤマトやマクロスを思い出しながらゲラゲラ笑って読む類だと思うぞ?www
Posted by <^♯^>ノシ at 2008年11月19日 00:29
つまりとにかく完結せよと。
Posted by E.a at 2008年11月19日 06:53
ええ、おっしゃっている欠点はよくわかっていますとも。でもラストで泣けた!タイトルの意味が分かって泣けた!

まずはお友だちから\(^o^)/
Posted by kz at 2008年11月20日 08:28
俺はこのブログにたまに書き込んでいるが俺が軍オタでないのは確定的に明らか
Posted by モモン at 2008年11月21日 18:35
最初に仮想戦記はきついというのならまずは皇国の守護者辺りからどうぞ。
スパイ物が好きなら東京の優しい掟オススメ。

さぁ、一緒に煉獄へ行こうか…
Posted by 儲 at 2008年11月25日 00:17
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