2005年01月28日

UNHCR難民認定のクルド人、強制送還-2、質問に答えて

「UNHCR難民認定のクルド人、強制送還(05-01-27)」のコメントで戴いた葉桜嬢の質問に答える物です。


>日本が条約を批准している意味はどこにあるんですかね?

回答:自陣営にとって必要と思われる人材を、敵対する陣営から合法
    的に確保する為。

最初から、あまりにも見も蓋もない答えで呆気に取られたかもしれないが、難民条約が成立した歴史を調べれば、まさにこの通り。

第二次大戦終了後、スターリン統治下のソビエトを始めとする東側諸国では人権弾圧が日々厳しくなっていき、人々は西側に「逃亡」し続けていた。
特に1948年、ベルリンの壁が作られ、東側が両陣営の直接接する国境を封鎖してからは、彼らは東側では明確に「犯罪者」となった。
そして、彼らを東側から返還要求されても西側諸国には拒む理由が無かった。いつもの事だが、弾圧してる側は絶対にそれを認めない。

西側に住んでいた家族と涙の再会を果たし、東側の非道を訴える一般人なんてのはプロバガンダには使えるが、まあ、ぶっちゃけ返しちゃっても構わない。だが、西側には絶対返したく者も居た、核科学者とか。

かくて1951年「難民条約」が成立する。その証拠に1967年議定書までは「難民」の定義はヨーロッパに限られていた位だ。蒋介石が台湾に叩き出される途中で焼け出された人や南北朝鮮ほったらかし。
ああ、成立した基礎にはもちろん善意も有り、その善意こそが「難民条約」を永らえさせているのだろうが、本来の意図はこういう事。


>非道なやり方をした日本の信頼が落ちる事や、国際的な批判はデメ
>リットにはならないと思いますか?

回答:ならない。
難民条約の成立が元々東西対立の産物だし、前回の文章でも、ちらっと触れたが「難民」の定義は各国内政に任されてる。そして、人権に厳しいと言われるヨーロッパ各国でも、実に都合良くこれを使い分けてる。

ユーゴスラヴィアからきたジプシーがドイツに滞在する権利のためにデモを行う
旧ユーゴからの難民の多くは、いつかは本国に帰るものだと期待されて、1990年代にドイツへの一時的な居住を許可された。先週、内務大臣オットー・シリーとドイツ16州の大臣が、1998-99年のコソボ紛争を逃れたロマを含むエスニック・マイノリティの難民に対して本国に帰還するように迫った。

難民擁護グループが、帰還すれば差別と暴力に直面する可能性があると主張しているにもかかわらず、大臣たちは、恒久的にドイツに滞在するための権利を許可することをも不可能にした。

セルビアとモンテネグロからきたジプシーは、すでに強制送還させられていると内務省のスポークスパーソン、イングリッド・スタムは述べた。

仏内相が不法移民収容センター閉鎖をアピール
仏北西部の英仏海峡に近いサンガットの不法移民収容センターの閉鎖と、今後、同様なセンターを作らないことをアピールした。同内相は「フランスは今後、難民収容センターを作るつもりがないことを世界にアピールしたい」と語り、フランスが不法移民の中継国になるつもりのないことを改めて訴えた。

サンガットは同地に国際赤十字が開設した収容センターで現在、二千人以上の不法移民が収容されている。今年に入り、同収容所の多数を占めるアフガニスタン人とクルド人の対立から、騒動が何度も起こり、死者も出て、付近住民から不満の声が上がっていた。

オランダ、難民など二万6千人国外退去
オランダ下院は17日難民認定や亡命などを申請していた在留外国人のうち、2万6000人を国外退去させる政府案を承認した。上院の承認後、正式決定する。8週間以内に退去しない場合は、政府の「出国センター」に強制収容する。

この一方、2300人は難民認定などを受ける見通し。欧州諸国では移民の増加に伴う失業や治安悪化などに国民の不満が強まっているが、このような大量退去処分を一度に行うのは異例で、人権団体から批判が出ている。

ざっと探しただけでも、こんだけ出て来る。
前出の国々も国連から抗議や非難をを受けてるが、例によって効果は無い(苦笑)。
日本を批判する資格の有る国なんざ、どこにも無い。従ってデメリットも無い。


>「法なき法務省」などと言われ、日本の遵法精神に不信感がもたれ
>ています。
>ルールを守らない国を誰が信用するでしょう?

回答:先進国の難民への処置を知っている人間なら、誰も不信感を持たない。

繰り返しになるが、難民の認定は各国政府機関に任されている。日本はなん等の条約にも違反していない。


>国内でも法・政府への不信感が高まることのデメリットも大きいか
>と思います。その点は、どうお考えになりますか?

いい加減、ほっときゃ匂いもしないドブの泥すくっては道路にぶち撒ける様な文章で読むのが嫌になってるかもしれないが、最後の泥を。

この事件を突端に国民の多くが政府への不信感を増す事は絶対に無い。持つのはむしろクルド人家族への反感だろう(あー、自国民のバカを晒すような文章、書きたくね)。

大衆は常に情で動く。
非情な政府と無関心な国民への怒りと呪いをTVカメラの前で喚くような「被害者」など、決して支持しない。日本の大衆は「被害者」がひたすらに悲劇的で殊勝である事を望んでいるのだから。
イラク三バカが拉致された時、彼らの家族が政府関係者に詰めより、感情的に叫ぶ映像が流れた途端、世論が決定的に変わったのを、もうお忘れか。

そして、大衆の情を敏感に察知しおもねる事では人後に落ちないワイドショーは、日本に残されたクルド人家族がカメラの前で我々を呪って以降、ピタリと報道を止めた。

そして、クルド人家族にとっては反感よりも更に厳しい「無関心」が始まる。もちろん世論はぴくりとも動かない。

PS.
さて、最後に、前回の文章を、ずらりと並ぶ強制送還反対派のblogと共にリンクして下さり、TBで教えてくれた「旗旗、『国民』の反対語は?」にリンク&TB。前回、拙blogをお読みの上でリンクして下さったのなら、よもや強制送還賛成派からTBが飛んでも驚いたりはなさるまい(笑)。
posted by ナナシ=ロボ at 22:30| Comment(1) | TrackBack(0) | 中東・忘れられた場所で | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは帆波です。
大衆に対しての御説、簡潔にて明瞭。さすがです。

大衆という印籠の視聴率 帆波
Posted by 帆波 at 2005年01月29日 14:48
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック