2007年10月22日

クルド危機

新聞を手に取り、テレビのチャンネルを回すと、この問題が報道されている。私は自分の国にこれほど多くの軍事戦略家やテロ専門家がいたとは知らなかった。今回のことで学んだが。

国家の最も重要な安全保障問題が、ワイドショーネタに読みかえられ、踏み潰され消費されているということ、そして皆がこの軍事作戦が実行された場合、またはされなかった場合に、政治的、あるいは他の手段によっていかに利益を得るかを今から勘定に入れていることが、本当に私を滅入らせる。

湾岸戦争やイラク戦争の時、あるいいは今、自衛艦インド洋給油に付いてのコラムと言っても信じる人が多そうだ。書き手は瀬戸内寂聴あたりか(笑)

これは、10/12にトルコの新聞Radikalに載ったコラムだ。もちろん英語でもおっつかっつな俺がトルコ語を解する筈もない。

東京外国語大学中東イスラーム研究教育プロジェクトが運営している「日本語で読む中東メディア」というwebページが有るのだ。


トルコで今年、大統領の任期満了に伴って一悶着あった。

「世俗主義」のセザル大統領の後釜にはエルドアン首相が成るものと思われていたが、政教分離派からは激しい反発があった。エルドアンは日に5回の礼拝を欠かさず、夫人は公務の時以外にはヘジャブをとらない。そしてその事を折に付けアピールしてきた。自分達は、よきイスラム教徒だと。エルドアン率いる与党AKPはイスラム主義を標榜する政党が前身だ。

ところが、AKPは、外相であったギュルを大統領に推した。現在、エルドアンはEU加盟を目指し、経済開放と自由化路線で改革を実行中であり、名誉職に近い大統領になるより、首相のままで改革を牽引する事を選んだのだ。

ギュルも「よきイスラム教徒」だ。
政教分離派は、ますます反発した。大統領と首相、二人ともイスラム主義になってしまうではないか。トルコの国是である政教分離はどうなる、と。大規模なデモも次々と起こった。

トルコの政教分離の擁護者を強く自認する軍も反応した。軍のwebページに参謀長名で短い文章が載ったのだ。

−新しい大統領が政教分離を堅持する事は言葉でなく、行動で示されるべきである。トルコ軍は世俗主義体制の護持者であり必要があれば軍としての立場と行動を明確に示す−

エルドアンは勝負に出た。総選挙を前倒しして、国民に信を問うた。AKPは優勢と伝えられた。

欧米のマスコミ、それをなぞり書きする日本のマスコミはこう書きたてた。「混迷するトルコ政局」「トルコはイスラム主義になるのか?」「トルコ軍、クーデターの可能性も」。根拠の無い事ではない。トルコ軍は1980年に政教分離を堅持するという理由でクーデターを起こしている。

だが、前記したページを見ていた俺には、そんな報道にどーにも違和感があった。笑われちゃってたのである、外国の報道が。

「なんか〜、あたしら、イスラムに突っ走るとか言われてて、チョーウケんだけど」
「エルドの政策、見てたら判んね?俺ら、あんたらと同じ事してんだけど?」
「軍、ウザくね?」
「金儲け上等。ま、俺らにアラー付いてっから、おたくらみたいに悪どくやれねぇけど。アッラー・アクバルでよろしくぅ」


案の定、何も起きなかった。
選挙は激しいながらも平和裏に執り行われ、軍は沈黙し、AKPが勝ち、ギュルは大統領になった。まあ、大統領就任式に恒例である筈の軍楽隊を出席させない程度の抵抗はしたが。ウハwwwトルコ軍、涙目www



今、そのトルコ世論が沸騰している。
隣国イラク北部で着々と力をつけて「しまった」クルド人の武装組織PKKがトルコ国内で連続テロを起こし、今年だけで80人以上のトルコ人が犠牲になっている。特に、9月に起こったバス襲撃が大きかった。民間人ばかり11人が死亡し、その中に12才の少女が居たのだ。子供の犠牲者は、常に人々の感情を大きく揺さぶる。

エルドアンは、今までのような国境を超えての「追撃」ではなく、正面切った越境軍事作戦の承認を議会に求め、認められた。

文頭に掲げた引用の中の「この軍事作戦」とは、これの事だ。
「日本語で読む中東メディア」で漏れ伝えられるコラムやニュースにも、総選挙時の様な余裕は感じられない。越境攻撃に賛成であれ、反対であれ、全員が、真剣に、必死に、自分の意見を伝えようとしている。戦争すらもワイドショーで「消費」されそうな事態を憂いている。
トルコは一枚岩ではない。
ありとあらゆる人々の思いが、言葉が、溢れ、「流通」している。そう。日本と同じ様に。

多様な意見の集約が、どうか最善の、いやせめて次善の結果を導きますように。恐らく俺と同じ「多様と民主主義」という価値観を持つトルコの人々がみんな、明日も明後日もその先も、好きな人とお腹いっぱいご飯を食べられますように。
そして、出来得るならば、クルドの人々も、また。


PS.
この記事のみ「親日」つーキーワード含むコメント禁止ぃっ!

トルコのスレ立てりゃあ、「親日」だ「エルトゥール」だ、移民関係のスレ立てりゃあ、「在日」だ。飽きもしねぇでどいつもこいつも同じ事書きやがって。歴史的経緯も社会的背景も経済状態も無視して、てめぇのチッポケな知識でレスしやがってっ。俺はレスが読みたくてスレ立ててんだよっ。ちったぁ調べてから書き込みやがれ、ググれ、ライブれ、MSNれっ。
┗┫# 怒 ┣┛<バ ガ ヤ゙ ロ゙ ー
posted by ナナシ=ロボ at 17:01| Comment(2) | TrackBack(0) | イラクと周辺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
けどさあ、N速+とかでそういうコメントくれてる人ってここに来ないじゃん。
Posted by E.a at 2007年10月22日 21:18
まあ、あれだ…

┏┫; ̄皿 ̄┣┓<日頃の鬱憤晴らし
Posted by ナナシ=ロボ at 2007年10月24日 16:56
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